開発者インタビュー

 

エステ以外のテクニックにも
取り組む理由

トラブルには、何らかの原因があります。まずはその原因を追求することが私のモットーです。一般的には、肌であれば「シミやニキビを治そう」、身体なら「むくみや脂肪が気になるから対処しよう」という話になりますね。
しかし、たくさんのお客様に触れるほど、表面的な部分だけではなく、もっと他の部分に原因があると気付かされるのです。

「アンチエイジング」という切り口で言えば、単にたるみを改善すれば若く見えると思うでしょう。でも実は、姿勢だったり立ち姿だったり、そういう「気配」が美しさには凄く重要だと考えるようになりました。

「なぜこの人はこんな立ち姿になってしまうのだろう?どうしたらもっと美しくなるだろう。」ということを考えながらその人を観察すると、「お仕事で目が疲れてるから、眉間にしわを寄せてしまう」「パソコンをずっと見ているからストレートネックになる」「腰が痛くてかばいながら歩いてるから、悪い姿勢になってしまう」そういうことに気づくようになりました。

美容とは一見関係なさそうな疲労や痛みの部分まで解決しないと、私が目指す美容には届かないと思ったのです。今はエステ以外にも治療テクニックや、スポーツトレーナーがやるようなテクニックなども美容のテクニックに積極的に取り入れています。

 

対処療法ではダメだと思った

私は美容の仕事を18歳からしていますが、20代の頃にはこのことに気づき始めていました。30歳手前の時にもっと身体のことを詳しく勉強しなければならないと思って、「CIDESCOインターナショナル」という日本では最高峰と言われているエステの資格を取ろうと必死に勉強しました。

看護大学の教鞭をとられている先生のところに通って、解剖学とか大脳生理学とか化粧品科学などの勉強をさせていただき、
もちろん看護師さんやお医者様ほどの深いことではないですけど、美しさを阻害する原因を追求するため幅広く学びました。

解剖や大脳生理学などを勉強し、そこと照らし合わせながら一つ一つ必死に考えました。
「どうしたら表面的に汚れやくすみを取ることができるのか」、「はりを出すことができるのか」。当時はそんなことばかり考えていましたが、結局そんなことをしていても単なる対処療法でしかないことに気づいたのです。

 

エステの枠を超えて

くすみや、慢性的なむくみ。これらの様々な要因を考えていくと、循環が悪いからとか、食べ物にもすごく関係があるということが分かってきます。
栄養の偏りを整えることも日常生活の中では簡単なことではないですよね。サプリメントについても知識をつけていき、どうしたらお客様の役に立てるかを追求してきました。

40代になり、これでもまだ足りないなと考える時が訪れたのです。それは、「身体の凝りからくる痛み」です。
体の「凝り」は筋肉が循環を妨げたりするものですから、皆さんも顔の表情筋が下がってきたり、むくんできたり身体の姿勢が崩れてきたり、それが痛みへとつながるなど、年齢を重ねるにつれていろいろなことが巻き起こってきます。
だから、美容のテクニックだけでは本当に駄目だと感じたのです。

 

それでも、エステシャンだからこそ出来ること

お客様が綺麗で、その上、身体がアクティブに動いてバリバリ仕事もできて、「やりたいことをやりたいときにできる身体と美しさ」を持ち続けていただくというのが私の絶対に譲れないところ。
それにはどうしたらいいんだろうと長年考えていました。

そんな折、母が具合を悪くしました。それまで一人暮らしをしていたのに、入院をしてから、母はわずか1週間で1人でトイレにすら行けなくなったのです。
「人間は1週間で歩けなくなるんだな」と思った時に、これは自分にも、自分のお客様にも起こることだと感じました。

ありがたいことに、当店では割とお客様の年齢の幅があって上は70代の方、下は20代の方までいらっしゃいます。先輩のお客様たちは、先に歩けなくなったり何らかのトラブルが出てしまうと思って、早急になんとかしないといけないと思いました。
そして、いっそのこと自分で勉強して自分で全部できるようになった方が早いのではないかなと考えたのです。美容のことも健康や運動機能も含めて、全てアドバイスできるのではないかと。

 

街中でも研究の日々

普段、道を歩いていて全然知らない方を見ていると、何かふと気になる瞬間があるのです。
この前も歩いていた時にタンクトップを着ていた同年代の女性がいて、決して太いわけではなく、すごく細い方なのに皮膚がたる~んとなっていたのです。
「この皮膚の伸びをなんとかしないと綺麗にはなれない」とか思うわけです。歩いていたり、銭湯に入ったりするときも「どうして背中の胸椎のところだけ曲がってしまうのかな」とかふとした時に気になるんですね。
今までの積み重ねもあるので、こうすれば改善するんだな、という方法が見つかることが多いんですよ。

 

老いとの永遠の戦い

目下の研究テーマであり、本当に難しいなと思っているのが「皮膚は簡単には縮まない」ということ。
私たちも魔法使いではありません。
過剰に身体を酷使されていたり、日々老化もしていきますから簡単に若返るのは難しいものです。うちは長い方で30年近く通ってくださるお客様とかもいらっしゃいますが、やはり老化との戦いになってきます。

もう14年も通っていただいているお客様と、最近笑って話すのが「最初にいらっしゃった38歳のときより、5年後の43歳の時の方が綺麗になりましたね」と。今はもう52歳になられました。
それはご本人も認めてらっしゃっていて、そこから10年近く経ってくると色々と衰えてくるわけです。

それをまたどうやって挽回して差し上げようかということを、日々奥歯をギリギリさせながら考えています。
30代であれば5年ぐらいはすぐに巻き戻せます。
でもいくらメンテナンスしていても、だいたい45歳から50歳の間に「食い止まらない」と感じる瞬間が出てきますね。そこを1日でも進みが遅くなるようにするのが私の仕事です。

 

お客様の役に立つ、うわべだけのエステではないサロンを

今までは沢山の方に来ていただきたいなと思っていたし、いろいろな方のお役に立ちたいと思っていました。
しかし、だんだんやることがマニアックというか、エステっぽくないとお客様にも言われるようになりました。
美容の仕事をして32年経ち、うわべのエステをしていてもお客様の役には立たないということをひしひしと感じています。

お客様に無駄な時間とお金は使わせたくない。自分の技術磨きとサロン作りに邁進していくと決めてしまったので、あまり万人受けするお店ではないと思います。
私のやり方を理解してくださる方で、「いつまでも綺麗で飛び回っていたい、行きたいところに行ってやりたいことをどんどんやりたい」という方だけに来ていただければいいのかなと思っています。

 

OGUMA IKUYO

上越市高田生まれ 1993年よりエステサロンを経営。
「地元上越の女性に首都圏と変わらないクオリティーの高い技術を提供したい」という思いから、数々の国際ライセンスを取得。
エステの知識、技術だけでなく、看護大学講師について解剖学や皮膚学なども学ぶ。
2018年より科学的知識に基づいたパーソナルトレーニングを学び、
全身美容に導く独自のメソッドを開発し今日に至る。